8月から9月上旬にかけては、山野に棲む小鳥類は夏羽から冬羽に抜けかわる“換羽期”を迎えます。多くの鳥は数枚ずつ抜けかわり、完全に冬羽が生えそろうのに3〜4週間かかります。換羽期の小鳥類は上手に飛べないこともあり、外敵を恐れ、藪の中に隠れてしまいます。当然、撮影は難しくなります。
この野鳥の換羽期については、俳句の世界では「羽抜鳥(はぬけどり)」と呼ばれ、晩夏の季語として使われています。ところどころ羽が抜けた姿が、みじめで滑稽であるとして、俳句の題材となっているようです。
9月上旬を過ぎると、換羽も終わり、見晴らしのよい場所に出てきます。日本で繁殖して越冬のため南へ渡っていく夏鳥、ノビタキやキビタキなどは、高原などの標高の高いエリアで夏を過ごし、平地へ移ってきます。特にノビタキは河原に広がる草地などで、よく見られます。ススキやアシなどの茎、それも先の方にとまり、「ヒッヒッ」と鳴くので、比較的見つけやすく、撮影しやすい鳥です。また、やや遅れて、モズも河原に現れるようになります。
なお、見晴らしのよい河原はこちらから野鳥を見つけやすいと同時に、野鳥からも見えることになるので,鳥に警戒されないよう注意する必要があります。よく観察して、好んでとまる場所を見つけます。背景がスッキリとし、撮りやすい角度を見つけ、そっと近づき、キビタキが来るのを待ちます。できるだけ人間のシルエットを鳥に見せないように工夫し、ジッと動かずチャンスを待って、撮影しましょう。