木の実は豊富な糖質や脂を含んでおり、野鳥にとって晩秋から初冬にかけての大切な栄養源です。群れをなして木にとまり、一心不乱に実をついばむ姿を見ることができるのは、この時期ならではです。鳥を撮影しようと近づき、逃げられてしまうこともありますが、ご馳走を食べずに逃げ去ることはありません。しばらくすると、様子をみて戻ってきます。
鳥に逃げられても、がっかりせず、その鳥がいやがらない距離を見つけ、その場所から木に戻って来るのを待ちます。小さな鳥はクチバシに実をくわえるとすぐに飛んでしまうこともありますが、根気強くシャッターチャンスを待ちましょう。
野鳥を撮るときは観察することが大切です。鳥が好む実を見つけることはもちろん、同じ種類の木でも、鳥が実を食べに来る木と実がなっているのに1羽も食べに来ない木があります。よく観察して、その木が鳥の来る木か、来ない木か見わけることも忘れてはなりません。
また、実のなる木は人家の近くに多いので、撮影時には周囲の住民に不快に思われないような配慮が必要です。よその家の庭木にカメラを向けるのはマナー違反ですし、畑の真ん中に立っている木であっても、カメラの向きによっては、遠く離れた家の方から苦情が出ることも考えられます。もし可能であれば、近所の方に声をかけておけば、不審に思われずに済むでしょう。
なお、木の実はものによっては、年明けの1月ごろまで残っていることもあります。木の実に来る鳥は、11月だけでなく、12月、1月と撮影することはできますので、ぜひ撮影に挑戦してみてください。