河原に広がるアシ原は、野鳥撮影に絶好のポイントです。前回は「ソングポスト」でさえずるオオヨシキリやコヨシキリについて触れましたが、今回は、さえずるばかりでなく、“なわばり”を守り、エサとなる昆虫などを補食するためにアシ原を訪れる野鳥についても書いてみます。
草地を好む野鳥にとって、アシ原は大切な生息場所です。昆虫や節足動物を捕食し、繁殖期には“なわばり”を形成し、見晴らしのよいポイントにとまり、自らの存在をアピールする場所でもあります。こうした行動をしばらく観察すると、頻繁にとまる場所があることに気がつきます。こうした“お気に入り”の場所には、一度逃げても必ず戻ってきます。戻ってくるときは、まっすぐに飛んでくることもあれば、アシ原の下の方を移動してきて、“お気に入り”のポイントに飛び上がることもあります。
草地は、こちらから野鳥を見つけやすいと同時に、野鳥からも見つかりやすい場所なので、鳥に警戒されない工夫が必要です。警戒心の強さは鳥の種類だけでなく、個体によっても違います。その鳥がよくとまる“お気に入り”の場所を見つけ、撮る位置が決まったら、ジッとして動かずに待ちます。このとき、人間のシルエットを消すため、布のようなものを被ることができれば、効果的です。
野鳥は体の小さいものほど警戒心が強い傾向にあります。草地を好む鳥の中でも特に小さなセッカは、通常、50mの距離で逃げてしまいます。追うと逃げてしまうので、“お気に入り”の場所を見つけ、ジッと待ちます。このように待ちかまえて撮る場合は、20mほどの距離までは近づけるでしょう。このとき、ブラインドを使えば、さらに近い距離から撮影することも不可能ではありません。とにかく動かず、人間のシルエットを鳥に見せないことが、草地で野鳥を撮るときの重要なポイントです。