中野耕志 X テレフォトレンズ/スコープ PROMINARレポート

第8回
プロミナー500mm×Nikon 1 Nikon1であこがれの青い鳥を撮る
PROMINAR 500mm F5.6 FL / TX10

このサイトの作例写真はPROMINAR 500mm F5.6 FLで撮影しています。 

あこがれの“カワセミ”“ルリビタキ”を撮る

写真:プロミナー500mm+Nikon 1

今話題のミラーレスカメラ、Nikon1とプロミナー500mmとの相性がバツグンなのは前回のレポートでお伝えしたとおりですが、今回はこの機材で撮影した“カワセミ”と
“ルリビタキ”の作例を見つつ、Nikon1の使いこなしを紹介します。これら2種の青い鳥は誰もがあこがれる美しい野鳥 で、とくにカワセミを撮りたくて野鳥写真の世界にのめりこむ人は少なくないでしょう。

写真:プロミナー500mm+Nikon 1

カワセミもルリビタキもスズメよりやや大きい程度の鳥ですから、大きく撮影するにはかなりの超望遠レンズが必要になるなど、機材に対するハードルが高いといえるでしょう。具体的にはフルサイズカメラと500mmの組み合わせで10m~15mという近距離で撮らないと満足な大きさにはならないのですが、Nikon1とプロミナー500mm F5.6(TX10)の組み合わせでは1350mm(500mm×2.7) F5.6として使えるため、一眼レフカメラ で撮るよりも距離をおいて、野鳥に余計なストレスを与えずに撮影できるのです。

使用機材

写真:ツグミ

それでは今回の撮影に使った機材を紹介しましょう。カメラはEVF装備のNikon1 V1とマウントアダプターFT1、レンズはもちろんプロミナー500mm F5.6 FLです。私は三脚と雲台の剛性を重視していますので、三脚はジッツオの3型4段カーボン(パイプ径32mm)、雲台はザハトラーのビデオ用雲台FSB-6を使用しています。プロミナー500mmの三脚座はザハトラーFSBシリーズ、マンフロット、ジッツオのビデオ 用雲台にそのまま装着できますのでとても便利ですね。

各種設定

写真:プロミナー500mmの解像力2
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続いてカメラの設定の一例を紹介します。Nikon1はとてもいいカメラですが、コンパクトであるがゆえボタン類が小さく操作しづらい部分もあるので、あらかじめ各種設定は済ませておきましょう。
私が撮影前におこなった設定は、

  • ・ 露出モードは「A」(絞り優先オート)
  • ・ 画質モードは 「RAW+FINE」
  • ・ 連写の設定は「連写」
  • ・ ホワイトバランスは「晴天」
  • ・ ISO感度は「200」

です。これを基本に、林内などの暗いところではISO感度を「400」、ピクチャーコントロールは「VIビビッド」にしてみました。このときプロミナー500mmの絞りはF5.6開放にセットしています。

ISO感度は200-400程度と低めに押さえていますが、これは画質を優先するために他なりません。比較的明るい水辺に暮らすカワセミの撮影では露出不足になることは少ないのですが、ルリビタキは暗い林に棲むので低ISO感度ではスローシャッターで撮影せざるを得なくなり、ブレの危険性が高まります。しかしカワセミもルリビタキもアクションを起こすときの動きはとても速いものの、枝に止まっているときは割とじっとしています。そのときを狙えば、Nikon1ならばスローシャッターになっても被写体さえ動かなければブレることは少ないと判断したからです。
大型のミラーを持つ一眼レフカメラではシャッターを切るときのミラーショックと、シャッター幕が開閉するときのショックによりカメラブレが起きてしまい、経験上1/60秒を下回るとブレる確率が非常に高くなります。
一方ミラーレスカメラは文字通りミラーがないのでミラーショックがありません。さらにNikon1のようにエレクトロニックシャッターで撮影できるカメラであればシャッター幕の開閉によるブレもないので、機械的なショックは皆無です。事実、ルリビタキの撮影時にNikon1と一眼レフカメラの両方で撮影しましたが、Nikon1で撮影したほうがカメラブレによる失敗カットが少なく非常にシャープ に写りました。
作例のルリビタキは絞り開放、1/30秒で撮影していますが、まったくブレずに羽毛の一本一本までシャープに写せました。もちろんそれは絞り開放からシャープな結像を約束してくれるプロミナー500mmの解像力の助けがあったからです。