中野耕志 X テレフォトレンズ/スコープ PROMINARレポート

第7回
プロミナー500mm×Nikon 1 ファーストインプレッション
PROMINAR 500mm F5.6 FL / TX10

このサイトの作例写真はPROMINAR 500mm F5.6 FLで撮影しています。 

望遠に有利なミラーレス登場

写真:プロミナー500mm+Nikon 1

軽量コンパクトなボディながら高画質が得られるカメラとして、レンズ交換式のミラーレスカメラが人気です。昨年ニコン初のミラーレス機としてニコン1が発売されましたが、野鳥撮影に適している機種として注目を集めています。それはマウントアダプターFT1を介してニコンFマウントのレンズが使えるのと、マスターレンズの焦点距離の2.7倍相当の望遠効果が得られるからです。もちろんコーワのPROMINAR 500mm F5.6 FL(以下 プロミナー500mm)でも同様に使えますから、TX10使用で1350mmF5.6、TX07使用で945mmF4、TX17使用で 2295mmF9.6相当のレンズとして撮影を楽しむことができるのです。それでもカメラとレンズを併せて2.5kg程度と非常に軽量コンパクトな システムで収まるので、野山を駆け回るフィールドでは大きなメリットといえるでしょう。

プロミナー500mmとニコン1の相性

写真:プロミナー500mm+Nikon 1

ニコン1にはEVFを持たないJ1と、EVF内蔵のV1の 2種類がありますが、プロミナー500mmには野鳥の動きを追いやすいV1がおすすめです。ニコン1は小さいながらも基本的な性能は高く、野鳥の素早い動きにも対応できます。とくにプロミナー500mmとの重量バランスは大変よく、コンパクトで振り回しやすいですね。ただカメラ本体が小さすぎるので、撮影に集中しているときなど、 不用意に背面ダイヤルやボタン等に触れてしまうことがあるかもしれませんので注意しましょう。

ニコン1 V1のEVFはとても見やすく、林内など暗いところでは光学ファインダーよりもピントの山が掴みやすいと感じました。プロミナー500mmは微動ピントリングでしっかりとピントを追い込めるので、使っていてマッチングがよく好印象を受けました。
カメラのレスポンスも早く、全体的にキビキビと動いてくれます。レリーズタイムラグも短く、連写も5コマ/秒と速いので、シャッターチャンスにも強いです。ただし起動がやや遅いので、撮影の際には前もって電源をONにしておくといいでしょう。

エレクトロニックシャッターによる無振動撮影

写真:ツグミ

ニコン1が野鳥撮影に向いている大きな要素でもありますが、シャッターにメカニカルとエレクトロニックがあり、エレクトロニックシャッターでは機械的なショックがほぼ皆無な状態で撮影ができます。いわゆるミラーショックがないカメラなので、カメラブレに悩まされやすいスローシャッター時には特にうれしい機能です。

画質

写真:ルリビタキ

画質に関しては、普段使っているEOS-1D MarkⅣなどのデジタル一眼レフカメラほどではないですが、コンパクトデジタルカメラとは違う満足いく画質だと思います。一眼レフカメラとコンパクトデジタルカメラの中間といった印象でしょうか。
ですが、プロミナー500mmと組み合わせたときに1350mm/F5.6 で使えるということを考慮すると、同じ距離から一眼レフカメラで撮影し、その画像をトリミングしたときよりも、高画質が得られるという印象を受けました。撮像素子 の大きな一眼レフカメラと比較して、撮像素子の小さなニコン1では、レンズに対する要求は相当厳しいはずなのですが、プロミナー500mmは野鳥の羽毛 一本一本まで解像するという、すばらしい描写を見せてくれました。今回もフローライトの威力を感じました。