中野耕志 X テレフォトレンズ/スコープ PROMINARレポート

第6回
プロミナー500mmでニホンザルを撮る
PROMINAR 500mm F5.6 FL / TX10

このサイトの作例写真はPROMINAR 500mm F5.6 FLで撮影しています。 

野生動物「ニホンザル」に挑戦!

写真:ニホンザル

前回はPROMINAR 500mm F5.6 FL(プロミナー500mm)で信州の秋を紹介しましたが、今回は同じく信州で撮影したニホンザルです。日本、とくに本州の野生動物の多くは夜行性なので、日中の明るい時間帯に撮影できる種類はそう多くはないのですが、ニホンザルやニホンカモシカ、ニホンジカなどの中大型哺乳類は、比較的撮影のチャンスが多いといえるでしょう。レンズの選択は撮影できる距離によりまちまちですが、概ね300~500mm程度が最適ですので、プロミナー500mmではTX10(500mm F5.6 )とTX07(350mm F4)の2つのマウントアダプターが最適となります。野生動物の撮影では少なからず山歩きを強いられますから、超望遠レンズでありながらコンパクトで携行性の高いプロミナー500mmは最適ですね。

機動性を生かす手持ち撮影

写真:手持ち撮影

動物写真の場合、できれば三脚を使用することでカメラブレを防ぐのはもちろん、ファインダー像を安定させて慎重なピント合わせをしたいところですが、プロミナー500mmの機動性を生かすために今回は三脚を持って行かず、全部手持ち撮影をしています。手持ち撮影では手ブレを防がなくてはならないのはもちろん、ファインダー像が安定せずにベストピントを探れないことが多々あります。そこで木などにレンズを押し当てて安定させたり立て膝でカメラを構えたりと、ピンぼけ・手ブレを防ぐためにいろいろな対策を講じる必要があります。もちろん三脚の代わりに一脚を使用するのも軽量化しつつのブレ対策として有効といえるでしょう。カメラブレや被写体ブレを抑えるためにも、絞りは開放でできるだけ速いシャッター速度で撮影するのも有効です。

プロミナー500mmの高解像力

写真:プロミナー500mmの解像力2
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生きものの撮影では目にピントを合わせるのが基本ですから、プロミナー500mmの微動フォーカスリングを利用して確実に目にピントを合わせるようにねらいましょう。今回は約5mの至近距離でニホンザルの表情を狙いましたが、プロミナー500mmの解像力は素晴らしく、目とその周りの毛の一本一本がカリカリのシャープに写ったのには驚きました。このシャープ感は100万円クラスのカメラメーカー純正500mmF4レンズに匹敵するもので、今回使用したニコンD3xの、2400万画素という圧倒的な高画素をしっかりと受け止めており、大変満足いく写真が撮れました。

フルサイズでも満足できるプロミナー500mmのレンズ性能

写真:ニホンザルの親子

現在発売されているデジタル一眼レフカメラは、大別してフルサイズとAPS-Cの2種類ありますが、違いは撮像素子の大きさです。フルサイズデジタル一眼レフカメラは24x36mm、つまり35mmフィルムと同じサイズ(35mmカメラシステムとしてのフルサイズ)の撮像素子を持ちますが、一般向けのデジタルカメラとしては大型の撮像素子を持つので高画質が得られます。APS-Cデジタル一眼レフカメラは、APS-C銀塩フィルムカメラシステムの23.4×16.7mmに近いサイズの撮像素子を持ち、撮像素子のサイズがフルサイズに比べ小さいため入門機や中級機といったクラスのデジタル一眼レフカメラに採用されています。現時点ではフルサイズ機ではニコンD3xとソニーα900の2450万画素が、APS-C機ではソニーα77の2430万画素がもっとも画素数が多いカメラです。どちらも約2400万画素と、画素数では近いのですが、一般的には撮像素子が大きいフルサイズ機のほうが一画素あたりの面積が大きいため多くの光量を取り込むことができ、ノイズが減るため高画質が得られます。デジタル一眼レフカメラの高画素化の流れは一旦落ち着きを見せましたが、最近また高画素化が進んでいるようです。それに伴い、レンズにはそれを受け止めるだけの性能を求められるのですが、現状では純正レンズといえどもその流れに追いつけていないため、せっかくの高画素カメラを生かせないケースが見られます。これらの高画素カメラの性能を発揮するためにはやはりレンズ性能は重要ですが、コーワの“PROMINAR 500mm F5.6 FL”なら高画素機との組み合わせでも驚くほどの高画質を可能としてくれます。フローライトの威力を十分にご堪能いただけるレンズだと思います。