中野耕志 X テレフォトレンズ/スコープ PROMINARレポート

第3回
プロミナー500mmで海外エアショーを撮る
PROMINAR 500mm F5.6 FL / TX10

このサイトの作例写真はPROMINAR 500mm F5.6 FLで撮影しています。 

写真:会場の様子

飛行機を間近で見ることができるエアショー(航空ショー)は、日本では自衛隊が開催する航空祭が規模が大きく見応えがあります。
ひとたびエアショーに足を運んでジェット戦闘機の迫力ある飛行やブルーインパルスの曲技飛行に酔いしれ、飛行機の魅力に取り憑かれてしまう人も少なくありません。もちろん私もその一人で、毎年航空祭シーズンには全国各地の基地を旅します。
そんな航空祭行脚がエスカレートして向かう先は本場海外のエアショーです。
今回はPROMINAR 500mm F5.6 FL(以下、プロミナー500mmと表記)を携えて、世界最大規模といわれるイギリスのエア・タトゥー(TheRoyal International Air Tattoo:RIAT)というエアショーに行ってきましたのでご紹介します。

世界最大規模の航空ショー「エア・タトゥー」

写真:エアショーの様子

 エア・タトゥーは例年7月中旬に英空軍フェアフォード基地で開催されます。以前に比べると規模は縮小傾向にありますが、参加国はヨーロッパ諸国を中心に10カ国を超え、約200機も参加、集結します。エアショー自体は土日の2日間開催なのですが、エアショー前の水曜日から金曜日までの参加機の到着と展示飛行のリハーサル、エアショー翌月曜日の参加機の帰投までを基地内の指定エリアから撮影することができます。つまり最大6日間楽しめるという、一度の遠征でもっともたくさんの撮影機会が得られるエアショーなのです。エア・タトゥーの会場となる英空軍フェアフォード基地は、ロンドンの西約150kmに位置します。日本からはロンドン・ヒースロー空港からレンタカーが便利ですが、ロンドンから鉄道とシャトルバスを乗り継いで現地入りすることもできます。個人旅行が不安な人は日本からの海外エアショーツアーを利用することもできます。

写真:機内持ち込み機材機内持ち込みが可能でコンパクトに収納できます。

私自身は2002年に初めて訪れて以来、4度目のエア・タトゥーとなります。今回の旅は他に英海軍ヨービルトン基地エアショー、マンチェスター空港、ヒースロー空港など合計5カ所で飛行機を撮影したほか、ファーン諸島でパフィン(ニシツノメドリ)をはじめとする海鳥の撮影もしました。(パフィンは来月のレポートでご紹介します。)これで約2週間の旅程で、レンタカーを利用しての一人旅です。
海外への撮影行で毎度頭を悩ませるのは機材選びです。飛行機を撮影するのには、最低でもカメラ1台と300~500mmクラスの超望遠レンズ、それから地上展示機を撮影するための短いレンズも欲しいところです。私は海外取材の基本セットとしてデジタル一眼レフカメラ2台と、17-40mmF4、70-200nnF2.8、500mmF4、1.4xテレコンバーターを携行しますが、アクセサリー類を含めると重量は10kgを超えます。これらは飛行機に乗るときには機内持ち込み手荷物にしますが、ノートパソコンなど他の荷物を含めると航空会社がアナウンスしている重量制限を超えることもしばしばあり、いつもヒヤヒヤしながら飛行機に乗っています。なかでも一番重いのは500mmF4で、重量が4kg近くもあるのと大きくかさばります。そこで500mmF4の代わりとしてプロミナー500mmなら約半分の重量でスマートに移動ができます。500mmF4ならまだしも、600mmF4や800mmF5.6クラスともなると、機内持ち込みが難しくなります。そんなユーザーにも海外撮影用としてプロミナー500mmをオススメしたいところです。

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写真:レッドアローズ

今回のエア・タトゥーにはエアショーの2日間を含む5日間行きましたが、会場からは3日間、会場の外から2日間の撮影をしました。
会場からの撮影は光線状態も良く手堅いのですが、私はいろいろなアングルからの撮影を試したいので、日程に余裕があるときは会場反対側など別視点からの撮影も挑戦することにしています。
さて今年のエア・タトゥーの内容ですが、アクロバットチームとしてイギリス空軍レッドアローズ、イタリア空軍フレッチェ・トリコローリなどが参加し、ジェット機のソロディスプレイとしてはイギリスのタイフーンやトーネード、フランス空軍ラファール、スウェーデンのグリペンなどなど日本では決して見ることのできないヨーロッパ機を中心に、朝10時から夕方6時まで分刻みのスケジュールが組まれていました。
しかしイギリス特有の不安定な天気のため、両日共に朝のうちは雨のためフライトキャンセルが続出。それでも昼過ぎからは天気が回復してたくさんの飛行機がフェアフォードの空に舞いました。

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撮影スタイル

ここで飛行機を撮影するときの私のスタイルをいくつかご紹介しましょう。
飛行中の飛行機はとても速く動くのと見上げるアングルが多くなるので、基本的に手持ち撮影になります。
このときカメラを体の正面に構えるのではなく、左向きに構えると脇が締まって安定します。
レンズ先端部を左手の人差し指で支え、親指と中指でフォーカスリングを回します。このとき飛行機の動きにフォーカスを合わせるというより、タイムラグを考慮してピントを先回りさせるイメージだと成功させやすいでしょう。
また連写に頼らず一枚で決められるようアングルも先読みします。マニュアルフォーカスで一枚一枚を丁寧に撮る行為はとても難しいのですが、何も考えずにピントを合わせ続けてくれるオートフォーカスカメラでは得難い醍醐味があります。

  • 写真:撮影の様子
  • 写真:撮影写真

プロミナー500mmの解像感は大変素晴らしいものがありますし、本当に満足いく1枚が撮れることでしょう。
露出は画質的には1段ほど絞るといいと思いますが、実絞りなので開放~1/2段程度にとどめておくとファインダーが暗くなりすぎません。
絞り優先オートでも撮影できますが、せっかくだから露出も標準値を覚えてしまいましょう。
飛行機写真の場合、晴天順光の日中では、グレーの機体ではISO100でF5.6 1/1000程度が適正露出になります。
この値を基準に光線状態や時間、機体の色などを加味して露出値を加減していけばいいだけのことです。

今回はあいにく天気が不安定で、曇りベースの撮影となってしまったのが誠に残念なのですが、私にとって1年ぶりのイギリスでの撮影を楽しみました。初めてこの地を訪れたときはまだマニュアルフォーカスの500mmF4.5で撮影していましたから、この地でプロミナー500mmを使うことにより、そのときの感覚を思い出しながら撮影を楽しむことができました。