中野耕志 X テレフォトレンズ/スコープ PROMINARレポート

第2回
プロミナー500mmでデジスコに挑戦!
PROMINAR 500mm F5.6 FL / TP-88EC1 / TE-17W

このサイトの作例写真はPROMINAR 500mm F5.6 FLで撮影しています。 

プロミナー500mmでデジスコに挑戦!

写真:PROMINAR 500mm F5.6 FL/IXY210F

 私は普段、PROMINAR 500mm F5.6 FL(以下、プロミナー500mmと表記)とデジタル一眼レフカメラとの組み合わせでの撮影を楽しんでいるのですが、今回はコンパクトデジタルカメラで撮影する“デジスコ”に挑戦してみました。以前、少しだけ他社製スポッティングスコープでのデジスコを試してみたことがあるものの、そのときは期待したほどの画質を得られなかったのと、カメラのレスポンスの悪さに限界を感じ、その道を極めるのを諦めてしまいました。
その後メインのスコープとしてコーワのTSN-884を使うようになってからはビデオカメラで撮影する“ビデスコ”の面白さにのめり込み、スコープではもっぱら動画の撮影となり、静止画のデジスコを再開するには至りませんでした。そんなわけで私はほぼデジスコ初心者なのですが、今回はデジスコドットコムさんの協力で最新のIXY210Fのデジスコシステムを試す機会を得ることができました。

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プロミナー500mmデジスコシステム

 そもそも一眼カメラ用レンズなのにデジスコができるというのも不思議な気がしますが、プロミナー500mmはレンズ後部のマウントアダプターを外してプリズムユニットTP-88EC1 に付け替えるとスポッティングスコープに早変わり。アイピースはTSN-880/770シリーズ用のものが全て使用できますが、その中でもデジスコには視野が広く高画質なTE-17W 30xWIDEがおすすめです。

システム構成図-1

写真:三脚(ジッツオ3型4段カーボン) Manfrotto 503HDV 装着例

プロミナー500mm、TP-88EC1、TE-17W、そしてBR-IXY210、IXY210Fの組み合わせでは約1300-3700mm相当(35mm判換算合成焦点距離)の画角でケラレ無く撮影することができます。
約3kgのプロミナー500mmデジスコシステム一式を載せるのに使用した三脚は普段から愛用しているジッツオ3型4段カーボン(現行製品名GT3541LS)で、雲台はザハトラーFSB6を組み合わせました。いくら一眼レフシステムより軽量なデジスコといえども、1000mmオーバーの画角ではブレ防止はもちろんのこと、被写体の導入やフレーミングを素早く安定させるためにも堅牢な三脚と高精度のビデオ用雲台が欠かせません。なおプロミナー500mmの三脚座はマンフロット、ジッツオの一部ビデオ雲台およびザハトラーFSBシリーズの雲台にもクイックシュー無しでそのまま取り付けることができます。

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その他、デジスコに不可欠とも言えるアクセサリーは“照準器”と“液晶フード”。
まず照準器ですが、これがなければ被写体の導入すら難しくなります。
デジスコの1000mm~3000mmという焦点距離では間違いなく必須アイテムです。

  • 写真:液晶フード 照準器 究具02
  • 写真:液晶フード 液晶フード HD-30WMC

また、屋外での液晶画面の視認性を高めるために液晶フードもなくてはならないアイテムです。
フードを取り付けると液晶ビューファインダーを覗いている感覚での撮影ができますので、一眼デジタルカメラを使用している方にも使いやすいと思います。
もちろん、シャッターボタンを押すときのショックを和らげるケーブルレリーズはブラケットに取り付けることができる構造となっており、当然必要なアイテムです。
デジスコは各種アイテムを完成させてこそ楽しめる撮影方法ですので、全てそろえて始めることをお勧めします。

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デジスコのメリット

写真:PROMINAR 500mm F5.6 FL/IXY210F PROMINAR 500mm F5.6 FL/TP-88EC1/TE-17W/IXY DIGITAL 210F
森の中での撮影。デジスコならシャッタースピード1/13秒でもブレない写真が可能。
-オートフォーカス-
デジスコのメリットは、第一に手軽なシステムで超望遠撮影が楽しめるということです。野鳥写真の一番の難しさは、野鳥が十分な大きさに写る距離まで近づくことですが、1000mmオーバーの世界をデジスコほどのコンパクトなシステムで楽しむことは、一眼レフでは真似できないことです。そして1000mmオーバーの世界でオートフォーカスが使えることも大きなメリットといえるでしょう。被写体を導入してプロミナー500mmのピントリングでラフにピントを合わせれば、あとはカメラのオートフォーカスがピントを追い込んでくれます。
-ブレのない撮影-
またコンパクトデジタルカメラを使うことでミラーショックなどカメラが作動することに由来するブレをほぼ無視することができます。どんなに大きな三脚や雲台を使っても、ミラーショックを押さえ込むことができなければ確実にブレます。とくに森林性の小鳥を撮るときに多用されるスローシャッター域では、一眼デジタルカメラ撮影の失敗のほとんどがカメラ作動由来のカメラブレです。
森の中でさえずる小鳥のように、被写体は小さくて長焦点域が必要なのに、光量が足りずにスローシャッターを余儀なくされるというような撮影にはデジスコが最適です。

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画質・操作性

写真:PROMINAR 500mm F5.6 FL/IXY210F PROMINAR 500mm F5.6 FL/TP-88EC1/TE-17W/IXY DIGITAL 210F
TSN-884並みの解像力で、色収差はほとんど出ていない
-画質-
気になるプロミナー500mmでのデジスコの画質は、シャープで色乗りも良く、さすがフローライト+XDレンズといえるキレのある解像感を味わうことができました。一眼レフデジタルカメラで使った時と同様に、色収差もほとんど出ないので、画質的には満足いくレベルにあります。
ただしいくら超々望遠撮影ができるデジスコといえども、30m以上離れた遠い被写体を光学系に頼って無理矢理撮るのでは高画質は望めません。カメラと被写体までの空気のゆらぎが原因です。鳥に警戒心を与えないよう様子を見ながらという前提ではありますが、高画質を求める場合は20m以内に接近し、なるべくワイド側で撮影すると良い結果が得られるでしょう。最も高画質が得られるのは、ケラレが無くなるワイド側1~2ステップ付近ですので、画角にすると1500mm以内を目安にするといいでしょう。
ケラレのないワイド側(1500mmまで)を常用し、被写体までの距離が遠い場合やドアップ狙いの場合のみ、それ以上の長焦点域を使うのがいいと感じました。
-操作性-
操作性に関しては、IXYだけあってか、シャッターを押すだけでキレイな写真が撮れます。
難しいことを考えずにシャッターを切ればいいという印象です。
デジスコドットコムさんから専用ブラケット「BR-IXY210」が発売されていますので、スコープへの取り付けも簡単。ブラケットが比較的安価なのも魅力です。

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画質・操作性

写真:今回使用したデジスコシステム

今回約5年ぶりに再挑戦したデジスコですが、カメラの進化はもちろんのこと、プロミナー500mmのデジスコへの適性の高さを実感しました。私個人の感想としては、被写体を至近距離で撮影できるのであればやはり一眼デジタルカメラに軍配がりますが、被写体までの距離が遠いときにはデジスコが断然有利だとあらためて実感しました。

プロミナー500mmは、被写体までの距離や状況に応じてデジスコ撮影と一眼デジタルカメラ撮影を素早く切り替えることができます。
十分な大きさが得られる目安である15m以内や動きモノを撮るなら一眼、15m以上ならデジスコというように使い分けるのもいいでしょう。1本で両方の撮影スタイルを楽しめるプロミナー500mmは、欲張りなバーダー諸氏に最適なレンズです。

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