野鳥撮影の標準レンズともいえる大口径超望遠レンズは、その高画質と引き替えに、大きい、重い、値段が高いというデメリットもあります。
とくに 多くの野鳥写真家が使う500mmF4クラスでは、長さ約40cm、重さ約4kg、価格は100万円と、とうてい気軽に扱えるものではありません。他の選択肢としては400~500mmクラスまでカバーする小口径ズームレンズもありますが、これらのレンズで満足できる画質が得られるものは皆無といっても過言ではないでしょう。
私はかねてから大きさや価格がお手頃な500mmF5.6クラスのレンズを待ち望んでいたのですが、この PROMINAR 500mm F5.6 FL(以下、プロミナー500mmと表記)が発表されたときは喜びとともに若干の戸惑いを覚えました。なぜならばオートフォーカスや手ブレ補正機能全盛のこの時代に、あえてマニュアルフォーカス、実絞りという仕様で市場に投入されたからです。しかし見方を変えればオートフォーカスや手ブレ補正機能を得るための“余分な”光学系を省略できる分、シンプルな光学系で高画質を追求できるということです。7群7枚のシンプルな光学系には高級硝材の最高峰として名高い フローライトクリスタル〔蛍石〕1枚と、XDレンズを2枚採用し高画質を追求しています。
ちなみに2大カメラメーカーの500mmF4は、14枚~17 枚と、多くのレンズを使う複雑な光学系になっており、これは重量の増加や価格の上昇、そして故障や不具合のリスクにもつながる可能性があるともいえるでしょう。