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発売日:2009年2月20日
CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-FC100
製品情報
(メーカーHP)
http://dc.casio.jp/product/exilim/ex_fc100/ |
衝撃の高速連写、ハイビジョン&ハイスピード・ムービー機能をもったEX-F1のデビューから約1年、EXILIMハイスピード機は信じられないほどコンパクト化しました。EXILIM EX-FC100(以下「FC100」)は本体重量145gとEX-F1の1/4にも満たないボディながら、EXILIMハイスピード機の血統の証、"高速連写とハイスピード機能"を引き継いでおり、秒間30コマの高速連写、1280×720Pのハイビジョン映像、そして秒210~1000コマのハイスピード撮影と、野鳥撮影を楽しくさせる機能はFC100でも健在です。
FC100の特性は、EX-F1のサイズを小さくした分、そのままスケールダウンしたものとは言えません。EX-F1の1秒間に60コマには及びませんが、1秒間に30コマという数値は他のデジタルカメラの連写機能と比べると倍以上の性能を持っていると言えるでしょう。高速連写では600万画素とEX-F1と同じ値ですが、単写時には900万画素と高精細化が図られています。ハイスピード・ムービーも同様で300fpsから210fpsと数値上は下がってしまいましたが、画質はEX-F1と同等、状況によってはF1より良いときもある位です。さらにF1の凄さを実感できた過去の事象を切り取る"パスト連写&ムービー"も搭載されており、これらの機能は、野鳥撮影の可能性を広げる重要な機能で、まさにコンパクトEXILIMハイスピード機と言えるでしょう。
FC100のレンズは、沈胴式と呼ばれる撮影時にレンズが伸びるタイプのもので、約37㎜~185㎜(35㎜判スチル換算、以下同表記)の光学5倍ズームが搭載されています。コンパクト機がズーム倍率を競っているカメラが増えている中、このボディには丁度よいズーム比ではないでしょうか。デジスコでは高倍率になればなるほど、本体のレンズ性能が問われますが、今回のテストでFC100はテレ端にしても、それほど画質が落ちず安心して使えました。それでも、もう少し望遠側が欲しいときには、HDズームという機能があります。これは画質劣化無しのデジタルズームで、600万画素以下の画像サイズのときに有効になります(ムービーはVGA時のみ有効)。600万画素では、5倍~6.2倍まで、400万画素では7.5倍まで画質劣化しません。例えば600万画素の画像サイズ設定では、VA3使用時2590㎜のテレ端が3210㎜まで伸びるということで、あと少し、大きく撮りたいというとき、とても助かる機能でしょう。
今回はFC100専用のカメラブラケット TSN-DA100で撮影をおこないましたが、これからもう少しその様子を詳しく見ていきましょう。
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TSN-884+TSN-VA3+EX-FC100 (ISO100 ・ 1/60 ・ F4) |
TSN-884+TE-20H+EX-FC100 (ISO100 ・ 1/500 ・ F4.2) |
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スチル |
ムービー |
撮像素子 |
1/2.3型 正方画素高速1029万画素 CMOS |
記録媒体 |
SD/SDHCメモリーカード |
記録画像フォーマット |
JPEG |
AVI形式 Motion JPEG準拠 |
記録画素数 |
9M : |
3456 × 2592 |
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3456 × 2304 |
(3:2) |
3456 × 1944 |
(16:9) |
6M : |
2816 × 2112 |
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4M : |
2304 × 1728 |
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2M : |
1600 × 1200 |
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VGA : |
640 × 480 |
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HD : |
1280× |
720 |
(30fps) |
STD : |
640 × |
480 |
(30 fps) |
ハイスピード : |
480 × |
360 |
(210fps、30-300 fps) |
224 × |
168 |
(420 fps) |
224 × |
64 |
(1000 fps) |
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レンズ |
5倍 f=6.42~32.1㎜(35㎜判換算:37~185㎜)F3.6(W)~4.5(T)㎜ |
露出制御 |
プログラムAE |
露出補正 |
-2.0EV~+2.0EV(1/3 EV単位) |
音声 |
内蔵ステレオマイク |
インターフェイス |
AV端子/USB端子(Hi-Speed USB対応) |
電池寿命 |
撮影枚数(CIPA規格準拠):約300枚 |
ハイスピード録画:約2時間、HD録画:約2時間10分 |
サイズ |
98.8(W)×58.5(H)×22.6(D)㎜ |
重量 |
約145g(本体のみ) |
1GBあたりの記録枚数(時間) |
サイズ |
高精細-F |
標準-N |
エコノミー-E |
9M(3456×2592) |
170枚 |
322枚 |
478枚 |
3:2 (3456×2304) |
195枚 |
366枚 |
543枚 |
16:9 (3456×1944) |
239枚 |
443枚 |
653枚 |
6M(2816×2112) |
277枚 |
511枚 |
743枚 |
4M(2304×1728) |
386枚 |
690枚 |
1074枚 |
2M(1600×1200) |
767枚 |
1224枚 |
2056枚 |
VGA(640×480) |
2929枚 |
5086枚 |
6903枚 |
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HD
1280×720(30fps) |
4分22秒 |
STD
640×480(30fps) |
12分57秒 |
ハイスピード
480×360(210fps) |
2分38秒 |
ハイスピード
224×168(420fps) |
2分38秒 |
ハイスピード
224× 64(1000fps) |
5分14秒 |
※ハイスピード撮影時間は、再生時間と異なります。
210fps :録画時間×7倍
420fps:録画時間×14倍
1000fps:録画時間×33倍
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※CASIO ホームページより
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コンパクト・スリム機FC100の露出は、プログラムAEのオート仕様のみで、露出補正は-2~+2EVで1/3ステップで調整できます。デジスコでは絞り開放が理想なのですが、FC100には絞り優先AVモードがないのが残念なところです。フォーカスに関しては、スチルではオートフォーカスはもちろん、マニュアルフォーカスもあるので状況に応じて使い分けることができるので安心でしょう。それに対して動画のフォーカスは固定焦点かマニュアルフォーカスの二者択一となってしまいます。野鳥の動画撮影では、スコープ側のフォーカス操作で追従するしかないでしょう。
スイッチ類の配列は、動画スタート・ボタンが独立してくれたので、スチルとビデオの撮影切り替えの手間が省けます。また、動画撮影時でも600万画素以下で、10枚まで撮影できるというのも嬉しい仕様でしょう。また高速連写の切り替えスイッチもボディ上部に独立してあります。これは状況に応じて単写と連写を使い分けるとき、スムーズに移行でき、一瞬のタイミングを争う野鳥撮影では、勝敗の分かれ目となる重要な要素と言えるでしょう。

ビデオのスタート/ストップ・ボタン |

連写切替ボタン |
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キアシシギ ISO 100 ・ F3.0 ・ 1/200 |
ISO100~200の変化はごく僅か、高速連写のときは出来るだけシャッタースピードを高くしたいので、ISO200は積極的に利用した方が良いでしょう。ISO400になると、輪郭が甘くなりカラーのノイズも目立ってきますが、まだ実用レベル。高速連写の特徴を生かすにはシャッタースピードは1/3000以上欲しいので、デジスコではISO400は良く使うポジションとなるでしょう。 |
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FC100を絞り開放にする方法
デジスコでは、絞りを開放にしないと周辺減光やシャッタースピードの低下を招き、思ったような画が撮れないときがあります。FC100は高速連写時、プログラム的にシャッタースピードを上げようとするので、絞りは必然的に開放近くになるので問題はありません。しかしポートレイト的な落ち着いた画を、高速連写ではなく単写で撮ろうとすると、今度は絞り込むようにプログラミングされているので、条件によっては周辺減光を生じてしまうことがあるでしょう。そんな時、高速連写のAE特性を生かし、撮影枚数を最低の5枚設定にすると良いでしょう。一回のレリーズで5カットも撮影されてしまいますが、メモリー消費にはそれほど影響ないでしょう。それよりも単写で撮るよりはるかにタイミングの良い写真が撮れ、5カットの中からベストの画を選べるというメリットの方が大きいと言えます。ただしこの方法、撮影画素数が600万画素になってしまうのが惜しいところです。でも野鳥撮影では、ポートレイトでもジャストタイミングは難しいので、やってみる価値はあると思います。 |
 撮影枚数の設定を5枚にする |
シビアなピント合わせする方法
FC100のオートフォーカスは、合焦スピードはけっこう早く、その精度もまあまあでしょう。しかし、少しコントラストの弱い被写体だと、直ぐにフォーカス動作を諦めてしまう感じがします。また、極端にバックが明るい場所もオートフォーカスは苦手とするところでしょう。野鳥撮影は人物の撮影と違い、このようなシーンの方が多いのではないでしょうか。そんなときマニュアルフォーカスに頼らざるを得ませんが、デジスコのマニュアルフォーカス操作は大変難しいと言えるでしょう。私のオススメの方法は、無限遠・拡大フォーカス表示法です。マニュアルフォーカスにするとフォーカス操作時は画面の中央が拡大されピント合わせがやりやすくなります。デジスコでのフォーカスは無限遠が基本なので、カメラ側でのフォーカス操作はあまりやらないで、スコープ側で調整することが多いでしょう。FC100では本体のフォーカス操作をしないと拡大表示は、2秒で切れてしまいます。たった2秒ではシビアなフォーカス操作は難しいと言えます。
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撮影枚数の設定を5枚にする |
ではどうすればよいでしょうか? FC100本体のフォーカス操作をして無限遠側に達しても、そのままフォーカスボタンを押し続けていれば、拡大表示され続けています。その間にスコープでフォーカス操作を納得がいくまで追い込むことが出来ます。ただ難点は、スコープのフォーカス操作と、カメラ本体のフォーカスボタンを押し続けるという不安定な状態が続き、画像が揺れやすくなってしまうことでしょう。しかし、これも慣れで、それほど揺らさないで操作することが可能でしょう。
画面右側、オレンジ色のサークルで囲まれている部分が、フォーカス操作のコントロールボタン。このボタンを押し続けることで、拡大表示で画像を確認することが出来ます。画面左側、オレンジ色のサークルの中を見ると、撮影距離確認用のバー表示が無限遠に達していることがわかます。 |
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ハイビジョン記録
スチルカメラに本格的な動画機能が搭載され始め、デジタルカメラでムービーという流れは自然な形となってきました。FC100の1280×720ピクセル(30コマ)というムービー機能は、立派なハイビジョン映像を楽しめるデジタルカメラと言えるでしょう。貴重な野鳥を前にした時、スチルで思う存分撮影し、そのままのセッティングでムービーも記録できる!なんと素晴らしいことではないでしょうか。
さて、FC100の動画機能ですが大きく分けて、通常撮影とハイスピード撮影に分けられます。ハイスピードに関しては後述するとして、通常撮影から見ていきましょう、FC100にはVGAと呼ばれる、今までのTV方式640×480ピクセルと1280×720ピクセルのハイビジョン画質の二通りがあります。ハイビジョン映像は今までのTV方式とは比較にならないクリアな映像を楽しむことができるので、野鳥撮影では、断然こちらの方での録画をオススメします。録画操作はボディ背面右上部の録画ボタンを押すだけです。ハイビジョン記録の画角表示が、スタンバイ状態と録画状態で変わるのは、コンパクトデジタルカメラのハイビジョン記録搭載機には珍しくありませんが、最初は少しとまどってしまいます。録画中の操作は“気軽にハイビジョン映像を”というコンセプトからでしょうか、フォーカスもズーミング(光学ズーム領域)も出来ません。フォーカス操作はスコープ側で対処できるので問題ありませんが、ズーミングは画角を調整するために動作して欲しいところだと感じます。露出補正は撮影前なら操作可能です。記録フォーマットは、最近主流のMpeg4のAVCHD方式ではなく、AVIのMotion JPEGという方式を採用しています。編集やPC上での展開を考慮すると、こちらの方がフォーマット的に、汎用性があると言えるでしょう。画質もカメラの画質というより、このフォーマットの違いの方が大きく影響している感じで、細かいノイズが少し気にかかりますが、激しい動きでの画像の乱れは、AVCHDよりも抑えられています。
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 画質はメニュー画面でハイビジョンのHDを選択しましょう。 |

ハイビジョンモード・スタンバイ状態、FC100の液晶パネルには、グレーで囲まれた16:9のハイビジョン記録の画角が表示されます。 |

録画が始まると左右いっぱいに画角が広がります。慣れないとこの画角の変化に少々とまどってしまいます。 |
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ハイスピードEXILIMシリーズの特徴、ハイスピード・ムービーは、EX-F1、EX-FH20とスチル派の人々にも大きなインパクトを与え、当然FC100でもその楽しさを味わうことができます。ハイスピード記録時、フォーカス、ズーミング、露出はすべて固定されてしまいますが、5秒間撮影で7倍の再生時間=30秒以上(210fps時)のビデオクリップが仕上がるという世界では、逆にコントロールする暇がないと言えるでしょう。野鳥撮影では飛び立つ瞬間、羽づくろい、水浴びなど、とにかく動きの激しいシーンを撮影すると、後で思わぬ発見があり、何気ない動作でもついハイスピードで撮影したくなってしまいます。ハイスピード撮影のコツは、FC100のフットワークの良さを生かし、とにかく理屈抜きで“ ”動いているものを撮りまくる” に尽きると思います。記録フォーマットはハイビジョン記録と同じ、AVIのMotion JPEGですが、ハイスピード撮影ではMpeg4のAVCHDより向いているフォーマットと言えるでしょう。高圧縮のMpeg4では動きの激しいシーンが多いハイスピード撮影のシーンでは、ノイズが増え画がボヤけてしまうことが多いのですが、FC100ではそれほど画が乱れませんでした。 |
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ハイスピード撮影の切替えは、動画記録ボタンの外側のレバーをHSマーク側にします。
ハイスピード記録コマ数の設定は、210fpsが画質・動きの面白さのバランスが良いのでオススメでしょう。 |
 210fps(480×360ピクセル) |

420fps(244×168ピクセル) |

1000fps(244×64ピクセル) |
コマ数が増えるに従い、撮影領域は狭くなります。野鳥撮影では420fpsまでが、操作上、問題のない画角ではないでしょうか。1000fpsは昆虫などもっと動きの早いものを撮影するとき威力を発揮します。野鳥撮影の合間にぜひ挑戦を! |
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CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-FC100での野鳥撮影は、新しいジャンルの撮影スタイルではないでしょうか。スコープで直視する代わりに、TSN-DA100を介しFC100で観察する。デジスコ発祥のスタイルがそこにはあります。そして観察~撮影に即座に移行できる、それがFC100ならではの撮影スタイルでしょう。その記録がスチルのみならず、ハイビジョンからハイスピード・ムービーまでOKなのですから驚きです。EX-F1でスチルとムービーの融合を示唆してから僅か1年少々で、ここまでコンパクトなハイスピード機が出てくるとは思いませんでした。You Tubeなどの動画サイトには、毎日ものすごい数の動画アップされ続けています。デジタル一眼レフの動画機能やFC100のような気軽なカメラの登場が、よりいっそう動画の盛り上がりに拍車をかけることでしょう。写真もムービーも構えて撮る時代から、何気ない風景から切り出す時代に来ているようです。FC100はそんな時代にマッチしたスチル&ムービー作品の重要な手助けとなるカメラではないでしょうか。 |
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※「CASIO」「EXILIM」はカシオ計算機株式会社の登録商標です。 |