コーワ デジスコ ワールド -KOWA DIGISCO WORLD-
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あの気になるデジタルカメラはデジスコで使えるのか?ケラレ、画質、使い勝手など評価します。
第10回 CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-FC100
作例は下記機材で撮影しています。
作例撮影機材 スコープ KOWA TSN-884 PROMINAR
アダプター/アイピース KOWA TSN-VA3
KOWA TE-20H
カメラ CASIO HIGH SPEED EXILIM
EX-FC100
デジタルカメラブラケット KOWA TSN-DA100
デジタルカメラアダプター
*TE-20H使用時
KOWA TSN-DA10
取材協力 : 菅原安氏(映像作家)
CASIO EXILIM EX-F1
レポート
1. カシオ HIGH SPEED EXILIM EX-FC100 概要
使用アクセサリー デジタルカメラ概要1

発売日:2009年2月20日

CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-FC100
製品情報
(メーカーHP)

http://dc.casio.jp/product/exilim/ex_fc100/

 衝撃の高速連写、ハイビジョン&ハイスピード・ムービー機能をもったEX-F1のデビューから約1年、EXILIMハイスピード機は信じられないほどコンパクト化しました。EXILIM EX-FC100(以下「FC100」)は本体重量145gとEX-F1の1/4にも満たないボディながら、EXILIMハイスピード機の血統の証、"高速連写とハイスピード機能"を引き継いでおり、秒間30コマの高速連写、1280×720Pのハイビジョン映像、そして秒210〜1000コマのハイスピード撮影と、野鳥撮影を楽しくさせる機能はFC100でも健在です。

 FC100の特性は、EX-F1のサイズを小さくした分、そのままスケールダウンしたものとは言えません。EX-F1の1秒間に60コマには及びませんが、1秒間に30コマという数値は他のデジタルカメラの連写機能と比べると倍以上の性能を持っていると言えるでしょう。高速連写では600万画素とEX-F1と同じ値ですが、単写時には900万画素と高精細化が図られています。ハイスピード・ムービーも同様で300fpsから210fpsと数値上は下がってしまいましたが、画質はEX-F1と同等、状況によってはF1より良いときもある位です。さらにF1の凄さを実感できた過去の事象を切り取る"パスト連写&ムービー"も搭載されており、これらの機能は、野鳥撮影の可能性を広げる重要な機能で、まさにコンパクトEXILIMハイスピード機と言えるでしょう。

 FC100のレンズは、沈胴式と呼ばれる撮影時にレンズが伸びるタイプのもので、約37o〜185o(35o判スチル換算、以下同表記)の光学5倍ズームが搭載されています。コンパクト機がズーム倍率を競っているカメラが増えている中、このボディには丁度よいズーム比ではないでしょうか。デジスコでは高倍率になればなるほど、本体のレンズ性能が問われますが、今回のテストでFC100はテレ端にしても、それほど画質が落ちず安心して使えました。それでも、もう少し望遠側が欲しいときには、HDズームという機能があります。これは画質劣化無しのデジタルズームで、600万画素以下の画像サイズのときに有効になります(ムービーはVGA時のみ有効)。600万画素では、5倍〜6.2倍まで、400万画素では7.5倍まで画質劣化しません。例えば600万画素の画像サイズ設定では、VA3使用時2590oのテレ端が3210oまで伸びるということで、あと少し、大きく撮りたいというとき、とても助かる機能でしょう。

 今回はFC100専用のカメラブラケット TSN-DA100で撮影をおこないましたが、これからもう少しその様子を詳しく見ていきましょう。

TSN-884+TSN-VA3+EX-FC100
(ISO100 ・ 1/60 ・ F4)
TSN-884+TE-20H+EX-FC100
(ISO100 ・ 1/500 ・ F4.2)
作例1 作例2
2. カシオ HIGH SPEED EXILIM EX-FC100 仕様
  スチル ムービー
撮像素子 1/2.3型 正方画素高速1029万画素 CMOS
記録媒体 SD/SDHCメモリーカード
記録画像フォーマット JPEG AVI形式 Motion JPEG準拠
記録画素数
9M : 3456 × 2592  
3456 × 2304 (3:2)
3456 × 1944 (16:9)
6M : 2816 × 2112  
4M : 2304 × 1728  
2M : 1600 × 1200  
VGA : 640 × 480  
HD : 1280× 720 (30fps)
STD : 640 × 480 (30 fps)
ハイスピード : 480 × 360 (210fps、30-300 fps)
224 × 168 (420 fps)
224 × 64 (1000 fps)
レンズ 5倍 f=6.42〜32.1o(35o判換算:37〜185o)F3.6(W)〜4.5(T)o
露出制御 プログラムAE
露出補正 −2.0EV〜+2.0EV(1/3 EV単位)
音声 内蔵ステレオマイク
インターフェイス AV端子/USB端子(Hi-Speed USB対応)
電池寿命 撮影枚数(CIPA規格準拠):約300枚 ハイスピード録画:約2時間、HD録画:約2時間10分
サイズ 98.8(W)×58.5(H)×22.6(D)o
重量 約145g(本体のみ)
1GBあたりの記録枚数(時間)
サイズ 高精細-F 標準-N エコノミー-E
9M(3456×2592) 170枚 322枚 478枚
3:2
(3456×2304)
195枚 366枚 543枚
16:9
(3456×1944)
239枚 443枚 653枚
6M(2816×2112) 277枚 511枚 743枚
4M(2304×1728) 386枚 690枚 1074枚
2M(1600×1200) 767枚 1224枚 2056枚
VGA(640×480) 2929枚 5086枚 6903枚
HD 1280×720(30fps) 4分22秒
STD 640×480(30fps) 12分57秒
ハイスピード 480×360(210fps) 2分38秒
ハイスピード 224×168(420fps) 2分38秒
ハイスピード 224× 64(1000fps) 5分14秒

※ハイスピード撮影時間は、再生時間と異なります。
 210fps :録画時間×7倍
 420fps:録画時間×14倍
 1000fps:録画時間×33倍

※CASIO ホームページより

FC100専用カメラブラケット TSN-DA100

さすが専用設計とあるだけセッティングは簡単。ねじ込み式でアダプターレンズに装着したら、FC100をパチンとはめこみ、下部のネジをFC100の三脚穴にねじ込むだけで完了です。当然この状態で光軸調整はOKとなっています。バッテリーやメモリーカードの交換も、ブラケットから取り外すことなく簡単におこなえます。

写真:TSN-DA100   写真:TSN-DA100本体とFC100のバッテリー交換
TSN-DA100 FC100のバッテリー交換

DA100にはケーブルレリーズも付属しているので、スコープとアダプターレンズがあれば、即、撮影に出かけられます。

写真:TSN-884+TSN-DA100+照準器 照準器の取り付けができ、対象を探すのに役立ちます。
ホットシュータイプの照準器や、(株)デジスコドットコム社の照準器の取り付けができます。
照準器の取り付けが可能(照準器は別売です)  
ケラレ具合チェック ※35mm判スチル換算( )内はカメラ本体焦点距離

気になるケラレ具合をTSN-VA1/VA2B/VA3、TE-20Hまで試してみました。どのアダプターも光学的に良好で、周辺減光もカメラとアダプターの距離を調整するクリアランス調整で対処できました。作例はTSN-VA3のものを掲げてあります。

1. スチルモード:9M 3456×2592ピクセル

写真:FC100本体のみテレ端(185mm) 写真:VA3 518mm(37mm)ワイド端 写真:VA3 840mm(60mm)ワイド側ケラレ無し 写真:VA3 1358mm(97mm) 写真:VA3 2590mm(185mm)テレ端
FC100本体のみテレ端(185mm) VA3 518mm(37mm)ワイド端 VA3 840mm(60mm)
ワイド側ケラレ無し
VA3 1358mm(97mm) VA3 2590mm(185mm)テレ端

 TSN-VA3使用時、ケラレのないワイド端は840oから周辺減光もなく良好。ワイド側でのクリアランス調整は、最大に引き伸ばした位置から、少し縮めた位置がベストでしょう。拡大率と画質のバランスが良いズーム域中間の1358oでは、逆に最短に近い位置まで縮めておけば、テレ端まで周辺減光が少ない画像で楽しめました。VA3使用時のFC100のクリアランス調整は普段は短めにしておき、周りの雰囲気を出したいときに伸ばすという使い方が良いでしょう。

2. HD動画モード:1280×720P

FC100本体のみテレ端(185mm) VA3 518mm(37mm)ワイド端 VA3 714mm(51mm)ワイド側ケラレ無し VA3 1358mm(97mm) VA3 2590mm(185mm)テレ端
FC100本体のみテレ端(185mm) VA3 518mm(37mm)ワイド端 VA3 714mm(51mm)
ワイド側ケラレ無し
VA3 1358mm(97mm) VA3 2590mm(185mm)テレ端

 こちらもTSN-VA3の画像です。HDムービーでは、スチルの時より若干拡大されるので、1ステップ広角側にシフトしてもOKですが、撮影結果は、スチルのケラレ無しワイド端の時と左右の画角は、ほぼ同じになりました。ワイド側とテレ側のクリアランス調整はスチルの時と同じですが、FC100の表示は4:3の液晶にガイドラインで16:9に囲まれる表示なので、少し暗めの場合、見にくい事もあるので、空など明るめのフラットな画で、一度確認をしてからの方が良いでしょう。

3.フォト&ビデオアダプター ケラレ具合一覧

35o判スチル換算値 ( )表記は、カメラ本体の焦点距離
  倍率 スチルモード・ケラレ無しワイド端 HDモード・ケラレ無しワイド端 スチルモード・テレ端
TSN-VA1 9.5倍 789o(83o) 665o(70o) 1758o(185o)
TSN-VA2B 14倍 1596o(114o) 1358o(97o) 2590o(185o)
TSN-VA3 14倍 840o(60o) 714o(51o) 2590o(185o)
TE-20H 25倍 1275o(51o) 1075o(43o) 4625o(185o)

TSN-VA1ではワイド側が800oを切っており、近くの被写体や大きめの野鳥の時には、重宝するでしょう。しかしテレ端が1758oという値は、超望遠が魅力のデジスコという観点からは、少し物足りない感じがしてしまいました。それに対してTSN-VA2Bでは1358oがワイド端という、デジスコらしい値から始まっています。テレ端も2590oとデジスコならではの世界を堪能できる値でしょう。作例でも取り上げたTSN-VA3ですが、840oから2590oとVA1とVA2B両方の世界が楽しめます。TE-20Hは、観察用のアイピースで接続時にTSN-DA10を使用します。拡大率は25倍と4機種中、一番の値で、1275o〜4625oと撮影範囲が広いのも特徴。ケラレの調節もそれほど神経を使うことなく扱えるので、今回の機種の中ではバランスの良い組合せではないでしょうか。

操作性

コンパクト・スリム機FC100の露出は、プログラムAEのオート仕様のみで、露出補正は−2〜+2EVで1/3ステップで調整できます。デジスコでは絞り開放が理想なのですが、FC100には絞り優先AVモードがないのが残念なところです。フォーカスに関しては、スチルではオートフォーカスはもちろん、マニュアルフォーカスもあるので状況に応じて使い分けることができるので安心でしょう。それに対して動画のフォーカスは固定焦点かマニュアルフォーカスの二者択一となってしまいます。野鳥の動画撮影では、スコープ側のフォーカス操作で追従するしかないでしょう。
スイッチ類の配列は、動画スタート・ボタンが独立してくれたので、スチルとビデオの撮影切り替えの手間が省けます。また、動画撮影時でも600万画素以下で、10枚まで撮影できるというのも嬉しい仕様でしょう。また高速連写の切り替えスイッチもボディ上部に独立してあります。これは状況に応じて単写と連写を使い分けるとき、スムーズに移行でき、一瞬のタイミングを争う野鳥撮影では、勝敗の分かれ目となる重要な要素と言えるでしょう。

撮影後の液晶画面2
ビデオのスタート/ストップ・ボタン
撮影後の液晶画面2
連写切替ボタン
高速連写

"高速連写+パスト連写"で「もう撮り逃しは有り得ない」とまで云わしめたFC100の連写性能をみていきましょう。600万画素(EX-F1と変わらず)・秒間30コマと撮影枚数はEX-F1の半分になってしまいましたが、それでも他のデジタルカメラでは体験できない高速連写特性をもっています。EX-F1のレポートで詳しく述べてありますが、ここでパスト連写の流れについて軽くふれてみましょう。パスト連写モードの時(シャッター半押しでスタンバイ状態)、実はカメラ内では、もう30コマの画像が常に蓄積され続けています。そして「ここだ!」というシャッターを押す動作で、カメラ内に蓄積された過去の画像から記録し始めます。具体的に言うと、野鳥が飛び立つ瞬間を狙う時、「飛んだ!」というタイミングでは間に合わないことが多いでしょう。原因は撮影者の反応、カメラ動作のタイムラグですが、パスト連写では「飛んで行ってしまった」というタイミングでレリーズしても1秒以内(30fps)なら撮影できてしまいます。EX-F1の60コマ/秒と比べると羽の形の良いタイミングは1/2になってしまいますが、それでも貴重なタイミングを撮り逃がすということはないでしょう。

ルリビタキの着地シーン
パスト連写1 パスト連写2 パスト連写3 パスト連写4 パスト連写5 パスト連写6
パスト連写7 パスト連写8 パスト連写9 パスト連写10 パスト連写11 パスト連写12
パスト連写13 パスト連写14 パスト連写15 パスト連写16 パスト連写17 パスト連写18
パスト連写19 パスト連写20 パスト連写21 パスト連写22 パスト連写23 パスト連写18

ベストショット2 ベストショット1

連写モード設定画面
写真:@1秒間に撮影するコマ数のスピード 写真:A撮影枚数 写真:Bシャッターを押す前と後の記録する画像の割合
高速連写の設定は、
@1秒間に撮影するコマ数のスピード A撮影枚数 Bシャッターを押す前と後の記録する画像の割合を調節できます。

連写モード時の画角の変化
写真:通常撮影
通常撮影
写真:連写モード
連写モード
連写モードの時、画角は通常撮影のときより狭く=少し望遠側になります。
ISO感度による画質の違い
写真:キアシシギ
キアシシギ ISO 100 ・ F3.0 ・ 1/200
ISO100〜200の変化はごく僅か、高速連写のときは出来るだけシャッタースピードを高くしたいので、ISO200は積極的に利用した方が良いでしょう。ISO400になると、輪郭が甘くなりカラーのノイズも目立ってきますが、まだ実用レベル。高速連写の特徴を生かすにはシャッタースピードは1/3000以上欲しいので、デジスコではISO400は良く使うポジションとなるでしょう。
写真:連写モード
ISO 100
写真:連写モード
ISO 200
写真:連写モード
ISO 400
スチルモード撮影ウラ技
FC100を絞り開放にする方法
デジスコでは、絞りを開放にしないと周辺減光やシャッタースピードの低下を招き、思ったような画が撮れないときがあります。FC100は高速連写時、プログラム的にシャッタースピードを上げようとするので、絞りは必然的に開放近くになるので問題はありません。しかしポートレイト的な落ち着いた画を、高速連写ではなく単写で撮ろうとすると、今度は絞り込むようにプログラミングされているので、条件によっては周辺減光を生じてしまうことがあるでしょう。そんな時、高速連写のAE特性を生かし、撮影枚数を最低の5枚設定にすると良いでしょう。一回のレリーズで5カットも撮影されてしまいますが、メモリー消費にはそれほど影響ないでしょう。それよりも単写で撮るよりはるかにタイミングの良い写真が撮れ、5カットの中からベストの画を選べるというメリットの方が大きいと言えます。ただしこの方法、撮影画素数が600万画素になってしまうのが惜しいところです。でも野鳥撮影では、ポートレイトでもジャストタイミングは難しいので、やってみる価値はあると思います。
写真:ウラ技1
撮影枚数の設定を5枚にする

シビアなピント合わせする方法
FC100のオートフォーカスは、合焦スピードはけっこう早く、その精度もまあまあでしょう。しかし、少しコントラストの弱い被写体だと、直ぐにフォーカス動作を諦めてしまう感じがします。また、極端にバックが明るい場所もオートフォーカスは苦手とするところでしょう。野鳥撮影は人物の撮影と違い、このようなシーンの方が多いのではないでしょうか。そんなときマニュアルフォーカスに頼らざるを得ませんが、デジスコのマニュアルフォーカス操作は大変難しいと言えるでしょう。私のオススメの方法は、無限遠・拡大フォーカス表示法です。マニュアルフォーカスにするとフォーカス操作時は画面の中央が拡大されピント合わせがやりやすくなります。デジスコでのフォーカスは無限遠が基本なので、カメラ側でのフォーカス操作はあまりやらないで、スコープ側で調整することが多いでしょう。FC100では本体のフォーカス操作をしないと拡大表示は、2秒で切れてしまいます。たった2秒ではシビアなフォーカス操作は難しいと言えます。

写真:ウラ技2
撮影枚数の設定を5枚にする
ではどうすればよいでしょうか? FC100本体のフォーカス操作をして無限遠側に達しても、そのままフォーカスボタンを押し続けていれば、拡大表示され続けています。その間にスコープでフォーカス操作を納得がいくまで追い込むことが出来ます。ただ難点は、スコープのフォーカス操作と、カメラ本体のフォーカスボタンを押し続けるという不安定な状態が続き、画像が揺れやすくなってしまうことでしょう。しかし、これも慣れで、それほど揺らさないで操作することが可能でしょう。

画面右側、オレンジ色のサークルで囲まれている部分が、フォーカス操作のコントロールボタン。このボタンを押し続けることで、拡大表示で画像を確認することが出来ます。画面左側、オレンジ色のサークルの中を見ると、撮影距離確認用のバー表示が無限遠に達していることがわかます。
動画モード
ハイビジョン記録
 スチルカメラに本格的な動画機能が搭載され始め、デジタルカメラでムービーという流れは自然な形となってきました。FC100の1280×720ピクセル(30コマ)というムービー機能は、立派なハイビジョン映像を楽しめるデジタルカメラと言えるでしょう。貴重な野鳥を前にした時、スチルで思う存分撮影し、そのままのセッティングでムービーも記録できる!なんと素晴らしいことではないでしょうか。
 さて、FC100の動画機能ですが大きく分けて、通常撮影とハイスピード撮影に分けられます。ハイスピードに関しては後述するとして、通常撮影から見ていきましょう、FC100にはVGAと呼ばれる、今までのTV方式640×480ピクセルと1280×720ピクセルのハイビジョン画質の二通りがあります。ハイビジョン映像は今までのTV方式とは比較にならないクリアな映像を楽しむことができるので、野鳥撮影では、断然こちらの方での録画をオススメします。録画操作はボディ背面右上部の録画ボタンを押すだけです。ハイビジョン記録の画角表示が、スタンバイ状態と録画状態で変わるのは、コンパクトデジタルカメラのハイビジョン記録搭載機には珍しくありませんが、最初は少しとまどってしまいます。録画中の操作は“気軽にハイビジョン映像を”というコンセプトからでしょうか、フォーカスもズーミング(光学ズーム領域)も出来ません。フォーカス操作はスコープ側で対処できるので問題ありませんが、ズーミングは画角を調整するために動作して欲しいところだと感じます。露出補正は撮影前なら操作可能です。記録フォーマットは、最近主流のMpeg4のAVCHD方式ではなく、AVIのMotion JPEGという方式を採用しています。編集やPC上での展開を考慮すると、こちらの方がフォーマット的に、汎用性があると言えるでしょう。画質もカメラの画質というより、このフォーマットの違いの方が大きく影響している感じで、細かいノイズが少し気にかかりますが、激しい動きでの画像の乱れは、AVCHDよりも抑えられています。
写真:連写モード
画質はメニュー画面でハイビジョンのHDを選択しましょう。
写真:連写モード
ハイビジョンモード・スタンバイ状態、FC100の液晶パネルには、グレーで囲まれた16:9のハイビジョン記録の画角が表示されます。
写真:連写モード
録画が始まると左右いっぱいに画角が広がります。慣れないとこの画角の変化に少々とまどってしまいます。

を押すと、作例(動画)を見ることができます。
スチルモード撮影ウラ技
 ハイスピードEXILIMシリーズの特徴、ハイスピード・ムービーは、EX-F1、EX-FH20とスチル派の人々にも大きなインパクトを与え、当然FC100でもその楽しさを味わうことができます。ハイスピード記録時、フォーカス、ズーミング、露出はすべて固定されてしまいますが、5秒間撮影で7倍の再生時間=30秒以上(210fps時)のビデオクリップが仕上がるという世界では、逆にコントロールする暇がないと言えるでしょう。野鳥撮影では飛び立つ瞬間、羽づくろい、水浴びなど、とにかく動きの激しいシーンを撮影すると、後で思わぬ発見があり、何気ない動作でもついハイスピードで撮影したくなってしまいます。ハイスピード撮影のコツは、FC100のフットワークの良さを生かし、とにかく理屈抜きで“ ”動いているものを撮りまくる” に尽きると思います。記録フォーマットはハイビジョン記録と同じ、AVIのMotion JPEGですが、ハイスピード撮影ではMpeg4のAVCHDより向いているフォーマットと言えるでしょう。高圧縮のMpeg4では動きの激しいシーンが多いハイスピード撮影のシーンでは、ノイズが増え画がボヤけてしまうことが多いのですが、FC100ではそれほど画が乱れませんでした。
写真:ハイスピード撮影1 写真:ハイスピード撮影2
ハイスピード撮影の切替えは、動画記録ボタンの外側のレバーをHSマーク側にします。
ハイスピード記録コマ数の設定は、210fpsが画質・動きの面白さのバランスが良いのでオススメでしょう。
写真:ハイスピード撮影1
210fps(480×360ピクセル)
写真:ハイスピード撮影1
420fps(244×168ピクセル) 
写真:ハイスピード撮影1
1000fps(244×64ピクセル)
コマ数が増えるに従い、撮影領域は狭くなります。野鳥撮影では420fpsまでが、操作上、問題のない画角ではないでしょうか。1000fpsは昆虫などもっと動きの早いものを撮影するとき威力を発揮します。野鳥撮影の合間にぜひ挑戦を!

ハイスピード動画作例
を押すと、作例(動画)を見ることができます。
 
総論
 CASIO HIGH SPEED EXILIM EX-FC100での野鳥撮影は、新しいジャンルの撮影スタイルではないでしょうか。スコープで直視する代わりに、TSN-DA100を介しFC100で観察する。デジスコ発祥のスタイルがそこにはあります。そして観察〜撮影に即座に移行できる、それがFC100ならではの撮影スタイルでしょう。その記録がスチルのみならず、ハイビジョンからハイスピード・ムービーまでOKなのですから驚きです。EX-F1でスチルとムービーの融合を示唆してから僅か1年少々で、ここまでコンパクトなハイスピード機が出てくるとは思いませんでした。You Tubeなどの動画サイトには、毎日ものすごい数の動画アップされ続けています。デジタル一眼レフの動画機能やFC100のような気軽なカメラの登場が、よりいっそう動画の盛り上がりに拍車をかけることでしょう。写真もムービーも構えて撮る時代から、何気ない風景から切り出す時代に来ているようです。FC100はそんな時代にマッチしたスチル&ムービー作品の重要な手助けとなるカメラではないでしょうか。

  ※「CASIO」「EXILIM」はカシオ計算機株式会社の登録商標です。

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